この記事の目次
- ▼ 相続開始から初七日までに必要な手続
- ▼ 相続開始から14日以内に必要な手続
- ▼ 相続開始から3ヶ月以内に必要な手続
- ▼ 相続開始から4ヶ月以内に必要な手続
- ▼ 相続開始から10ヶ月以内に必要な手続
- ▼ その他相続後の手続き
相続開始から初七日までに必要な手続
死亡診断書の取得
死亡診断書は、人の死亡を法律的・医学的に証明するものです。この死亡証明書は後々の年金の停止や保険の請求等の手続に添付資料として必要になるので、必要部数を確認の上、死亡診断書を取得しましょう。
死亡診断書は病院や事故で亡くなられた場合等、死因が特定できる場合に発行されます。ほとんどの方は死亡診断書が発行されますが、かかりつけ医等の関与なく死因がわからずお亡くなりになられた場合には、所轄の警察署に連絡し、監察医による検案を受ける必要があります。その場合、死亡診断書ではなく死体検案書が発行されます。内容はほとんど同じものですが、死因の特定をする為より詳しい診察が必要になる死体検案書が発行される取り扱いとなっております。
なお、死亡診断書は死亡届と同じ用紙に記入することとなる為、医師から死亡証明書を受け取ったら死亡届欄に必要事項を記入の上、市町村役場に提出します。
手数料は、その取得機関や死亡診断書か死体検案書により異なります。また、費用に関しては、死亡診断書は一般的に5,000円程度、死体検案書は3万円〜10万円程度を見積もっておくと良いでしょう。
死亡届の提出
死亡届の提出地は、死亡者の本籍地または死亡地、あるいは届出人の所在地を管轄する市町村役場となります。
また、死亡届を提出できる届出人は、親族や同居者の他、家主や地主等の不動産管理人、ご本人の法定代理人である後見人・保佐人・補助人・任意後見人や任意後見受任者が対象となります。
必要となる添付書類としては、上記で説明した死亡診断書が必要となりますが、死亡診断書と死亡届は一体となっております。手数料に関しましては、死亡診断書と異なり無料となります。
手続の根拠法としては、戸籍法第86条,第87条に記載ありますので、ご興味のある方は一度覗いてみてください。
死体火葬埋葬許可証の提出
死亡届を提出する市町村役場へ死亡届の提出する際に、死体火葬埋葬許可証の申請書に必要事項を記入の上、一緒に提出します。受理されると無事に死体火葬許可証が交付されます。
交付された死体火葬許可証を火葬場の管理事務所へ提出します。ご遺体の火葬が済むと、提出した死体火葬許可証に火葬済みを証する印が押されます。これが埋葬許可証となります。通常は遺骨と一緒に桐箱の中に入っている事が多いです。
ここで交付を受けた埋葬許可証を墓地や霊園の管理事務所へ提出することにより、納骨することができるようになります。また、分骨・散骨により2箇所以上に遺骨を埋葬する場合には、その埋葬する場所の分だけ埋葬許可証が必要となりますので、事前に火葬場の管理事務所へ相談しておくことをお勧めします。
相続開始から14日以内に必要な手続
年金受給停止の手続(厚生年金は10日以内なので注意)
年金を受給していた方が亡くなった場合には、年金受給停止の手続が必要となります。こちらの手続は、国民年金の場合は相続開始から14日以内に、厚生年金の場合は相続開始から10日以内に手続が必要となりますので、受給されている年金の種類に応じて準備を進めていきましょう。
年金の受給停止に必要な書類としては、亡くなった方の年金証書及び死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本または死亡診断書、死体検案書の写し、死亡届の記載事項証明書)が必要になります。こちらの書類を準備の上、年金事務所へ提出しましょう。
また、年金を受給されていた方が亡くなった場合、未支給年金の請求手続も発生する事が多いです。年金の支給は2ヶ月に一度の支給となる為、多くの方がこちらの手続についても同時に進めていく必要があります。
未支給年金を受け取れるご遺族は、年金を受給されていた方が亡くなった当時、生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・3親等内親族の方が対象となります。必要な書類は年金受給停止よりも少し多く、亡くなった方の年金証書・亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本等)・亡くなった方と請求する方の生計を同じくする事が確認できる書類(亡くなった方の住民票の除票及び請求者の世帯全員が記載されている住民票等)・受け取りを希望する金融機関の通帳が必要となります。
国民健康保険証の返却
故人が国民健康保険に加入していた場合には、死亡の日から14日以内に国民健康保険喪失届を、故人が75歳以上の場合には後期高齢者医療資格喪失届を提出し手続きを行います。必要な書類としては、死亡届もしくは故人の死亡を証する書面(戸籍謄本等)と保険証、申請人の本人確認書類(運転免許証等)となりますので、提出先となる故人の住所地の市区町村役場へ上記を準備の上、届出を行いましょう。
世帯主の変更手続(故人が世帯主の場合のみ)
こちらの手続きは、故人が世帯主に該当する場合のみ必要となる手続きとなります。該当する場合には、死亡届の提出と一緒に届出を行いましょう。
相続開始から3ヶ月以内に必要な手続
相続放棄・限定承認手続
故人の相続を知った時から3ヶ月以内に申述が必要となるため、なるべく早い段階で準備を進めておきましょう。その際に注意が必要なのが、故人の遺産についてはなるべく何も手を付けずに、まず申述手続を優先しましょう。なぜ、故人の遺産に手を付けない方が良いのかというと、法律上、財産を処分することは、所有者本人にしかできないものと考えられるため、処分した財産について単純承認したものとされ、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
この単純承認事由に該当するかどうかは、事情を総合的に判断する必要があります。その為、単純承認事由に該当しない場合もありますが、相続放棄・限定承認の申述ができなくなってしまう場合もありますので、相続放棄・限定承認の申述を検討されている方は、専門家にご相談の上、相続放棄・限定承認の申述手続を進めることをおすすめします。なお、相続放棄・限定承認の申述後であっても、単純承認事由に該当する場合がありますので、申述後についても注意が必要です。
相続開始から4ヶ月以内に必要な手続
準確定申告手続
通常の確定申告手続きは、1月1日から12月31日までの1年の間に生じた所得に対して税額を算出し申告しますが、年の途中でご逝去された場合、故人の方の申告をご相続人の方が代わりに申告する必要があります。こちらの申告期限は、故人の方の相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
注意しなければならないのが、申告だけではなく納税の完了までが4ヶ月以内に必要ということです。よく申告の期限が4ヶ月以内と勘違いされる方もいらっしゃいますので注意して、早めに準備を進めていきましょう。
提出場所は故人の死亡当時の納税地の税務署長あてに提出します。準確定申告書には、各相続人の方の住所・氏名・ご本人との続柄を記載して提出します。提出方法も、税務署に直接持参する方法・郵送で提出する方法・e-Taxで電子申告する方法がございますので、ご相続人の方々のご事情に合わせた方法で提出しましょう。
相続開始から10ヶ月以内に必要な手続
相続税の申告手続
相続税の申告手続きは、一定額以上の遺産を有する被相続人(故人)の遺産を相続した方が申告する手続きとなります。あくまでも申告は相続人の方がする手続きとなります。ただし、相続税の申告は全ての方に該当するわけではなく、基礎控除額の範囲内であれば、相続税の申告手続きは不要となります。
基礎控除額は3,000万円+法定相続人の数×600万円が計算式となります。こちらの基礎控除額の範囲内であれば相続税の申告は不要となります。こちらの相続税の申告が必要かどうかを判断するためにも、まずは被相続人の遺産の総額を計算し、確定する必要があります。
こちらの計算方法として、預貯金はそのままの金額を計算で使用することができますが、不動産に関しては少し注意が必要です。建物については、都税事務所や市町村役場にて固定資産税評価証明書を取得し、そこに記載されている評価額を計算に使用しますが、土地については相続税路線価という基準で価額を計算する必要があります。
相続税路線価は、国税庁のホームページから資料を確認し計算することができますが、計算方法が慣れていないと計算が難しく、簡単に算出することができません。ご自身での計算が難しい場合には、専門家へご相談の上、安心して手続きを進めることをおすすめします。
その他相続後の手続き
相続登記
故人の方が不動産の名義をお持ちの場合に必要となる手続きとなります。相続登記には必要書類として、故人の方の出生から死亡までの戸籍や相続人の方の現在の戸籍など、他の手続きでも使用する書類を請求することとなります。後々の事を考え、相続登記の準備も併せて進めていく事をおすすめしております。
なお、法定相続情報一覧図というものを法務局にて一度作成すれば、預金口座の解約手続き等、他の相続手続きも同時並行で手続きを進めることができるため、スムーズにお手続きが完了できます。
今後、相続登記の義務化も検討されているため、また、ご相続人の方々の手続きの円滑のためにも早めにお手続きに着手される事をおすすめいたします。
預金口座・証券口座の解約手続
預金口座や株式口座の解約手続きは、対象の銀行・証券会社から所定の用紙を受け取りそちらに必要事項の記入及び必要書類を添付の上、提出します。こちらでも故人の方の出生から死亡までの戸籍一式と相続人の方の現在戸籍等が必要となります。
また、原則として、銀行や証券会社では、所定の様式に必要事項を記入することになるため、遺産分割協議書や故人の方が遺言書を残されている場合には、銀行や証券会社により使用できる場合が異なりますので、事前に確認の上お手続きを進める事をおすすめしております。