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成年後見制度とは?どのような手続きなのかを徹底解説!

この記事の目次

  1. ▼ 成年後見制度ってよく聞くけどどんな制度なの?
  2. ▼ 成年後見制度のデメリットは?利用する上で気をつけること
  3. ▼ 成年後見制度を利用するのに必要な費用はどれくらい?
  4. ▼ 後見人の職務ってなに?どんな仕事をしてるの?
  5. ▼ 任意後見制度とは?成年後見制度とは何が違うの?

成年後見制度ってよく聞くけどどんな制度なの?

成年後見制度という言葉を耳にしたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?でも、どのような制度で、どのようなメリット・デメリットがあるのかがわからないという方も多いかと思います。そこで今回は、この成年後見制度について詳しくご紹介していきます。

 

法律に関してあまり知識のない方でもなるべく噛み砕いてわかりやすく説明していきます。

成年後見制度とは、ご本人が認知症や精神障害等のなんらかの事情により、判断能力が不十分な状態の場合に、本人を支援し、本人の権利を守るための制度です。

それでは具体的にご本人がどのような状態になった場合に、どのようにしてご本人を支援していくのかを解説していきます。

 

上記にあるように、判断能力が不十分になってしまった場合に、本人を支援してくれる制度だということはわかりました。しかし、判断能力がどれくらい不十分なのかは個人によって様々ですよね。そこで成年後見制度では、本人の状態にあわせた支援ができるよう、後見類型・保佐類型・補助類型という3つの類型に分けて支援を行っております。

 

ご本人の支援方法としては、それぞれの類型により、家庭裁判所から後見類型の場合には後見人が、保佐類型の場合には保佐人が、補助類型の場合には補助人が選任され、選任された方がご本人の支援を行っていきます。これらの選任された後見人等が、ご本人に代わって法律行為をする代理権を行使したり、ご本人が行った取引に対して同意したり取り消しをしたりする権限が与えられ、ご本人の判断能力が不十分な部分をサポートしていきます。

 

実際には、ご本人の状態に併せた支援となるため、全ての類型において、なんでもかんでも取り消したり代理したりできるわけではありませんが、詳しくは他の記事により詳しくしてまとめていきたいと思います。ここでは成年後見制度とは、こんな制度なんだな、わかるだけで十分です。

成年後見制度のデメリットは?利用する上で気をつけること

成年後見制度のデメリットとして気をつけることがいくつかあります。こちらをしっかりと考慮した上で、成年後見制度の利用を開始しましょう。

まず1つ目として、成年後見制度を利用することにより、ご本人は法律上「制限行為能力者」として、単独では完全に有効な法律行為をすることができなくなります。もちろん、それぞれの類型により状況が異なるので、こちらについては専門家に詳しく相談した上で利用することをおすすめします。

 

2つ目として、成年後見制度を利用すると、家庭裁判所の監督下におかれることとなるので、選任された成年後見人等は、家庭裁判所への相談・報告が欠かせなくなります。領収書等を管理し、年に1回、収支状況をまとめて家庭裁判所に報告する必要があります。

 

3つ目として、第三者後見人(専門職・市民後見人等)が選ばれた場合には、後見人の報酬が必要となります。報酬額については、ご本人の財産の状況・後見人のした仕事の内容により変動はありますが、基本報酬として月に2〜6万円程度となります。

成年後見制度を利用するのに必要な費用はどれくらい?

成年後見制度の申立に必要な費用としては、申立に必要な実費手数料が1万円程(収入印紙・交通費・必要書類)、その他に鑑定が必要な場合は鑑定料(5万〜10万円)、申立手続を専門家に依頼した場合には、専門家の報酬が必要となります。なお、申立費用はご本人ではなく、申立人が負担することになりますので注意が必要です。

 

ご本人の精神状態を判断する為に鑑定が行われる場合もありますが、明らかに鑑定の必要がないと認めるときはこの限りではなく、実際に鑑定は全体の6%程しか行われておりません。鑑定期間は、1ヶ月以内が全体の56%程、2ヶ月以内が33%程となっております。鑑定料金としては、5万以下が全体の54%程、10万円以下が39%程となります。

※上記の数値は全て令和2年度の実績数値となります。

 

後見開始後の費用としては、事務遂行費用(実費)、後見人の報酬(裁判所が決定)が発生します。こちらの費用に関しましては、ご本人の財産から支出されることになります。申立時の費用と後見開始後の費用を勘案した上で、申立をご検討ください。

 

また、申立費用・後見人等の報酬費用の助成制度もあり、各自治体による成年後見制度利用支援事業や報酬助成制度、法テラスによる民事法律扶助制度、成年後見リーガル・サポートによる公益信託成年後見助成基金等もございますので、こちらの制度についても専門家や対象の機関、自治体に相談をおすすめします。

後見人の職務ってなに?どんな仕事をしてるの?

後見人等って実際にはどのような職務を行っているのかあまりイメージが湧きませんよね?この記事では後見人の職務の一端を記載します。どのような職務を行うのか理解した上で、申立の検討にお役立てください。

 

ご本人の情報収集及び財産状況の調査、ご本人に関する各機関への届出、金融機関への届出、関係者との連携、郵便物の管理、ご本人と定期的な面談、財産管理事務、身上監護事務、同意権・取消権、家庭裁判所への報告、その他の事務が挙げられます。

 

後見人の就任から通常の業務を含めて上記のものをご紹介させて頂きました。ご家族の方が後見人になる場合にも、上記の職務が必要になる場合がありますので、家族後見人を検討されている方も是非参考にしてみてください。上記の職務の詳細については、また別の記事でご紹介していきたいと思います。

任意後見制度とは?成年後見制度とは何が違うの?

成年後見制度に関してはある程度、どのような制度かが理解いただけたかと思います。後見制度には上記で紹介した法定後見制度のほかに、任意後見制度というものが用意されています。こちらについて何が違うのか、どのように使い分けたら良いのかをわかりやすく説明していきます。

 

決定的な違いとしましては、任意後見制度は本人の判断能力が不十分になる前に、ご本人と任意後見人になって頂きたい方が契約により、将来判断能力が不十分になってしまったら私の財産の管理をよろしくお願いしますと締結するもので、法定後見制度は、判断能力が不十分になってしまった場合に申立により家庭裁判所が後見人を選任するものです。

 

ここからわかるように、判断能力が不十分になる「前」に契約しておくのが任意後見、判断能力が不十分になった「後」に利用できる制度が法定後見制度です。厳密には少々解釈が異なる部分もありますが、最初はこのような感覚で理解しておいて頂けると良いかと思います。

 

それでは実際に、どのような点に違いが出ていくのか、それぞれの制度を比較していきいます。

まず、判断能力については、法定後見制度は既に不十分であったり、判断能力がない場合に利用できる制度です。任意後見契約はご本人が契約により締結するものなので、ご本人に判断能力があるときに契約しておく必要があります。

 

後見人については、法定後見制度は、家庭裁判所が判断し選任します。家庭裁判所に提出する申立書の中に、後見人候補者を記載する欄が設けられておりますが、必ずしも候補者の方が後見人に選任されるわけではありません。任意後見契約は、契約により選任された方が任意後見人とされます。また、重要な点ですが、任意後見契約により後見人を選んだ場合、家庭裁判所が後見監督人という、後見人の業務をサポートしたり、業務の監督をする方が必ず選任されます。

 

ご本人が亡くなった場合、法定後見制度はご本人の死亡により終了します。任意後見制度もご本人の死亡により終了しますが、任意後見契約締結時等に、事前に死後事務の委任契約を結んでおくことにより、葬儀の手配等も契約により頼んでおくことも可能です。任意後見契約は判断能力がなくなる前に契約するものなので、事前に相続の対策をしておくこともできます。

 

次に大きな違いとして後見人等の取消権の有無が挙げられます。法定後見人の場合は、ご本人の日用品の購入や日常生活に関する行為以外については取消権を行使して取り消しをすることができますが、任意後見人については取消権はありません。その為、ご本人が訪問販売等の悪徳商法のセールスの被害経験がある場合、購入後一定期間を経過してしまうと取消権のない任意後見人では対応ができません。ただし、任意後見でも定期的なご本人状況等を確認することである程度、対策をすることはできます。こちらに関しては、ご本人の状態を考慮した上で専門家に相談することをおすすめします。

 

最後に、法定後見制度と任意後見制度が重複してしまった場合は、どちらの制度が優先されるのか気になられている方もいらっしゃると思います。基本的にはご本人の自己決定権や意思を尊重するという理念から任意後見が優先されます。ただし例外もあり、ご本人の利益ために特に必要がある場合には法定後見制度が選択される場合もあります。

 

今回は、後見制度がどんな制度なのかがなんとなくイメージできるよう後見制度をご紹介しました。成年後見制度はあくまでもご本人を守ための制度ですので、任意後見制度やその他の制度を複合的に利用して相続対策するのがベストです。実際に導入を検討されている方はもっと詳しい情報が知りたいと感じている方もいらっしゃると思います。お急ぎでご相談されたい場合は、専門家に相談することをおすすめします。こちらのページでも詳細な情報を随時発信していきます。